PEA系ガソリン添加剤はなぜノッキングを増やすことがあるのか

PEA系ガソリン添加剤はなぜノッキングを増やすことがあるのか

ガソリン添加剤の中でも「PEA(ポリエーテルアミン)」は、燃料系洗浄成分として特に人気があります。インジェクターの汚れ落としや燃焼室のクリーニングに強いとされ、最近では定番のメンテナンス用品になりました。

 

しかし、ユーチューブはネットの書き込みからはこんな声もよく聞きます。

 

  • 入れた後、エンジンのノッキングが増えた
  • なんだかエンジン音が荒くなった
  • オイルが急に黒く汚れた

 

この現象は、決して珍しいことではありません。
むしろ PEAが“強力すぎる”がゆえに起きている副作用 と言えます。

 

実際に筆者も添加剤を入れているのに、入れない時よりノッキングが大幅に増えたと実感して、調べてみました。以下備忘録です。

 

ここでは、その理由と、PEAを安全に使うためのコツを、自動車技術会の研究を背景にしつつ、なるべく平易にまとめてみました。

PEAがノッキングを増やす可能性がある理由

古いカーボンが一気に剥がれるため

 

PEAは“燃焼室の汚れを溶かす”能力が高いことで知られています。
しかし、その強力な洗浄作用には副作用があります。

 

剥がれたカーボンの微粒子が一時的に燃焼室にとどまり、
燃焼の均一性を乱してノッキングの原因になるのです。

 

特に古い車や短距離走行中心の車両では、燃焼室に小さな堆積物が密着していることが多く、PEAを使うとそれらが一気に剥がれます。
その剥離片によって燃焼状態が乱れやすくなる、という仕組みです。

 

燃焼室堆積物が“オクタン要求”を変えてしまうため

 

自動車技術会(JSAE)の研究によれば、燃焼室の堆積物(CCD:Combustion Chamber Deposits)はエンジンの“オクタン要求”に明確に影響します。

 

引用:自動車技術会論文

 

 

堆積物が増えるとノッキングが出やすくなるのは有名ですが、実は 堆積物が“減る時”にもオクタン要求は変動 します。

 

つまり、PEAを使うことで燃焼室の状態が大きく変わり、それによって点火タイミングと燃焼特性のバランスが乱れ、短期的なノッキングにつながる、というわけです。

 

添加剤がオイルを“極端に汚す”理由

 

次に、「オイルが急に真っ黒になった」という現象。
これもPEAの特徴によるもので、仕組みはこうです。

 

剥がれたカーボンがオイルに混入する

 

PEAで溶けて剥がれたカーボンの一部は、燃焼しきれずクランクケース側へ落ちていきます。
すると オイル内部に大量のカーボンが混ざり、急激な黒化 が起こります。

 

これは“オイルが悪くなった”というよりは、PEAが汚れを落とした量が多かった証拠 と言えます。

 

ただし、剥離物が多すぎると、以下のような問題も起こりえます。

 

オイルの粘度低下・スラッジ化のリスク

 

  • カーボンが多すぎる
  • オイルが古い
  • 走行距離が多い

 

こういった条件が重なると、オイル内部で**スラッジ(タール状の固まり)**が発生することがあります。
特に放置されたオイルにPEAを使うと、一気に汚れが流れ込み、バーニッシュ(焼き付き状の茶色い膜)などが発生しやすくなります。

 

PEA添加剤の使用方法

 

PEAはどう使うのが一番安全か?

 

ここからは、一般ユーザーが安全に使うための「実践的な使い方」です。

 

初回使用時は「オイル交換を前倒し」する

 

PEAを初めて使う車や、しばらくメンテしていない車は、PEAの投入 → 数百 km 走行 → オイル交換
これがもっとも安全。

 

特に10万 km 超えの車は必須と考えてOKです。

 

添加量は“規定量のみ”

 

たまに「強力に効かせたい」からと倍量入れる人がいますが、逆効果です。剥がれた汚れが増えるだけで、トラブルの原因になります。

 

初回は高速走行を組み合わせると効果が安定する

 

短距離走行だけだと、剥がれた汚れが燃焼しきれずエンジン内部に残ります。

 

PEA投入後は

 

エンジンが温まった状態で

 

20〜30分の連続走行(高速・バイパスなど)を入れてあげると、ノッキングやタール化のリスクが小さくなります。

 

使用頻度は「3,000〜5,000 kmに1回」程度がベスト

 

毎回入れる必要はありません。
定期的な“軽めのクリーニング”の方がエンジンに優しいです。

 

古い直噴ターボ車は特に慎重に

 

直噴エンジン(GDIという名称は消えましたが構造は今も主流)は燃焼室での噴霧や温度変化が大きく、堆積物が溜まりやすい反面PEAによる剥離の影響も出やすいタイプです。

 

高年式・高走行の直噴車はPEA→数日様子を見る→問題なければ継続

 

くらいの慎重さがベストです。

 

まとめとして、PEAは“正しく使えば”非常に優秀

 

  • PEAは“強力すぎる”ほどのクリーナー成分
  • 剥がれたカーボンが一時的に燃焼を乱し、ノッキングの原因になる
  • 堆積物の急激な変化は、オクタン要求を変化させる(JSAE論文で指摘)
  • オイル黒化は「汚れが落ちた証拠」+放置車ではスラッジ化も
  • 安全に使うには初回はオイル交換セット
  • 規定量のみ
  • 適度な長距離走行
  • 数千 km に1回で十分

 

PEA系は扱い方を間違えなければ、燃費回復やアイドリング安定などのメリットがはっきり出る添加剤です。

 

「強力だからこそ、正しく使う」この一言に尽きます。

 

もちろん筆者も定期的に使い続けますよ!

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