【10万キロ超え車におすすめ】ガソリン車エンジンオイルのグレード・粘度・選び方まとめ
表にまとめました。
規格(代表) | 推奨用途 | 粘度指数の目安 | ベースオイル分類 | スラッジ除去・シール保護性能 | 特徴・コメント |
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API SP / ILSAC GF-6A | 最新ガソリン車向け | 約140〜160 | VHVI(Group III)または部分合成油 | ★★★★☆ | 酸化安定性・清浄分散性が高く、スラッジ防止+シール劣化抑制に優れる。10万km超え車にも最適。 |
API SN / ILSAC GF-5 | 一般的な乗用車向け | 約130〜150 | VHVI(Group III) | ★★★☆☆ | コスパ良好。スラッジ除去はまずまず。シール保護は添加剤で補うと安心。 |
ACEA A3/B4(欧州規格) | 高速走行・高温域向け | 約150〜170 | PAO(Group IV)またはエステル混合 | ★★★★★ | スラッジ除去力とシール保護性能が最上級。高温でも油膜が強く、漏れ予防にも有効。価格はやや高め。 |
鉱物油(API SM以下) | 旧車・短距離メイン | 約100〜120 | Group I(鉱物油) | ★★☆☆☆ | 安価だが劣化が早く、シールの硬化・漏れを誘発しやすい。10万km超え車には非推奨。 |
グレード | 呼称例 | ベースオイル分類 | 特徴・性能 |
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Group I | 鉱物油 | 旧来の精製方式 | 不純物が多く、劣化・酸化しやすい。 |
Group II | 精製鉱物油 | 部分合成に近い品質 | 安価で清浄性が改善。短期交換向き。 |
Group III(VHVI) | 高度水素化精製油 | 高粘度指数・低揮発 | 現在主流。合成油として販売されることも多く、シール保護添加剤との相性も良い。 |
Group IV(PAO) | ポリアルファオレフィン | 合成油の代表格 | 酸化・熱安定性が高く、スラッジを溶かしながらシールの柔軟性維持にも効果的。 |
Group V(Ester等) | エステル系合成油 | 高級スポーツ向け | シール膨潤作用を持ち、漏れ防止に強い。ただし高価。 |
粘度選びと10万km超え車の注意点
オイルの粘度は「0W-20」や「5W-30」といった形で表されます。
これは**低温時の流動性(左側)と高温時の粘度(右側)**を示します。
10万kmを超えると、エンジン内部のクリアランス(隙間)が広がりやすく、指定より1段階粘度を上げる(例:0W-20 → 5W-30)ユーザーもいます。
ただし注意点として、オイルポンプは純正指定粘度を前提に設計されているため、粘度を上げすぎるとオイルの吸い上げ効率が低下し、循環が遅れるリスクもあります。
あくまで「1段階上」までが現実的な範囲です。俺も5W-30の指定粘度車両に10W-40を入れようと思いましたが、メーカー指定の粘度でいこうと思います。ポンプ性能などユーザーにはわかりませんし、基本設計した環境で使う方がベターと思ったからです。以前低粘度を入れてエンジンブローした経験もあるけど、100%オイルの原因かもわからないわけだし・・・
粘度指数(VI)とは?グレードとの関係
「粘度指数(VI)」とは、オイルが温度変化にどれだけ強いかを示す数値です。
数値が高いほど、寒いときもサラサラ・熱いときもドロドロしにくいという特性があります。
一般的な相関は次の通りです。
ベースオイル分類 | 呼称例 | おおよその粘度指数(VI) | 特徴 |
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Group I(鉱物油) | 旧来の鉱物油 | 約90?110 | 温度変化に弱く、夏場に粘度低下しやすい。 |
Group II(精製鉱物油) | 高精製鉱物油 | 約100?120 | やや安定。安価だが酸化劣化が早い。 |
Group III(VHVI) | 高度水素化精製油 | 約120?150 | 現代の主流。粘度変化に強く燃費性能も良い。 |
Group IV(PAO) | 合成油 | 約140?170 | 高温・低温とも安定。スラッジやシール劣化にも強い。 |
Group V(Ester系) | 高級スポーツ用 | 約160?190 | 粘度変化に最も強く、シール膨潤作用で漏れ予防にも◎。 |
表を見ると、グレードが上がるほど粘度指数も高くなる傾向があります。
ただし、粘度指数は「規格」ではなく「オイルの素材特性」であり、同じAPIグレードでもVIの高低はメーカーや配合で異なります。
また、粘度指数を無理に上げるために「粘度指数向上剤(ポリマー)」を多く使うと、長期使用でせん断(壊れ)しやすくなるため、ベースオイル自体のVIが高い(PAO・Ester系)製品を選ぶ方が安定的ですね。
スラッジ除去+オイルシール保護の重要性
10万kmを超えると、オイルシール類(クランクシールやカムシールなど)が硬化・収縮し、にじみやオイル滲みの原因になります。
この段階では、単なる粘度ではなく「シール復活剤を含むオイル」や「エステル系成分配合」のオイルが有効です。
これらには、シール材を適度に膨潤させて柔軟性を取り戻す作用があり、スラッジ除去+漏れ予防の両方に効果を発揮します。
リアクランクシールとかの交換って工賃が高いですよね。極力シールの延命のために、漏れ予防のオイルを入れた方がいいなと思います。
スラッジ除去+シール保護を重視するなら?
タイプ | 推奨グレード | コスパ | コメント |
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高性能VHVI系(Group III) | API SP / ILSAC GF-6A | ◎ | スラッジ防止・シール保護性能のバランスが良く、価格も手頃。ENEOS X PRIME、出光 ZEPRO、トヨタ純正SPなどが代表的。 |
PAO+エステル系(Group IV/V) | ACEA A3/B4 | △(高価) | 高温時でも油膜が強く、スラッジ分解とシール復活効果の両立が可能。Mobil 1、MOTUL 8100などが人気。 |
コスパを重視したおすすめバランス
10万km超え車で、清浄性・シール保護・価格のバランスを重視するなら、次の組み合わせが最も現実的かなと。
- VHVI系(Group III)ベース
- API SP/ILSAC GF-6A規格
- 粘度:5W-30→筆者の愛車の指定粘度
この条件なら、
- スラッジ除去とシール保護の両立
- 粘度指数も高く温度変化に強い
- 冬場の始動性も確保
- 価格は4Lあたり3,000〜4,500円程度(軽自動車は3L以下)
まとめ
- スラッジ除去+オイルシール保護性能が10万km超え車の重要要素!
- 粘度指数(VI)が高いオイルほど温度変化に強く、長寿命化すると思う
- VHVI系(Group III)× API SP規格がコスパと性能の最良バランスかな
- PAO/エステル系(Group IV/V) PAOは漏れ防止効果をより期待できるかと
- 粘度は1段階上げる程度に留める(オイルポンプ性能を考慮。俺は基本やらないけど)
10万kmを超えた車でも、「スラッジを溶かす力と、シールを守る優しさ」を両立したオイルを選べば、エンジンはまだまだ元気に走り続けられると思いますよ。もちろん個体差はありますけど。